手足に痺れの症状が出ているにもかかわらず、放っておくのは危険です。手足の痺れの原因はさまざまで、神経の圧迫や脳の病気、糖尿病など、重篤な疾患が隠れていることもあるからです。そこで今回は痺れの症状や原因、そして具体的な対処法について解説します。痺れに悩んでいる方はぜひ参考にして、適切な対処を行いましょう。
手足の痺れの症状とは?
手足の痺れの症状は、主に次の3つに分類されます。
・触った感覚が鈍くなり、熱さや痛みも感じにくくなる「感覚低下」を伴う痺れ
・手足に力が入りづらい、または思うように動かしづらい「運動麻痺」を伴う痺れ
・安静にしていても手足がチクチクするなど違和感のある「感覚異常」を伴う痺れ
手足の痺れの強さも人によってさまざまです。手足の痺れによって、次のように日常生活に支障の出てしまう人も少なくありません。
・物がうまくつかめない
・箸がうまく扱えない
・指をまっすぐ伸ばせない
・足に力が入らずつまずいてしまう
・感覚が鈍いせいで歩きづらい
・手足の冷感がある
手足の痺れの原因とは?
手足の痺れの原因は、大きく分けて以下の4つに分類されます。
脊髄疾患が原因で起こる痺れ
脊髄の疾患によって、手足に痺れの症状が現れる場合もあります。手足の痺れの原因になる脊髄疾患は、おもに次の4つです。
- 変形性頚椎症
- 頸椎椎間板ヘルニア
- 頸椎後縦靭帯骨化症
- 腰椎椎間板ヘルニア
加齢などによって頸椎が変形する「変形性頚椎症」になると、骨棘や靭帯の肥厚によって神経が圧迫されて、手足の痺れが起こります。両手の痺れや指先の鈍さを感じる他、症状が悪化すると歩行困難になる場合もあります。
「頸椎椎間板ヘルニア」は、椎骨の間にあるクッションの役目を持った椎間板が飛び出している状態です。神経が圧迫されて手足の痺れが現れることもあります。手足の感覚が鈍化し、日常の動作をうまくできなくなる恐れもあります。
靭帯が硬化して神経の通り道である脊髄管を圧迫する「頸椎後縦靭帯骨化症」も、手足の痺れの原因となる疾患です。指先の鈍さによる運動障害やぎこちなさを感じることがあります。腰椎椎間板が飛び出して神経を圧迫することで起こる「腰椎椎間板ヘルニア」でも、腰や臀部から足にかけての痺れと痛みを生じます。
脳神経疾患が原因の痺れ
脳神経の疾患が原因の場合、手足の痺れの他に、意識障害や言語障害などを伴うことも多いのが特徴です。症状を悪化させないためにも、早期に治療することが重要です。
脳梗塞や脳出血などの「脳血管障害」によって片側の痺れが起こります。また、痺れが徐々に鈍くなる場合は脳腫瘍の可能性もあるでしょう。脳炎や三叉神経痛でも痺れが起こります。
末梢神経に原因がある痺れ
内科的な疾患が影響して、手足の痺れにつながる場合もあります。たとえば糖尿病の三大合併症の一つである「糖尿病性神経障害」が代表的な疾患です。糖尿病によって小血管のアテローム性動脈硬化が起こると、神経に栄養を運ぶ血管の血流が滞り、最終的に神経障害が起こります。また、ビタミンB12欠乏症やビタミンB1欠乏症でも痺れが起こります。
ストレスが原因で起こる痺れ
ストレスが原因で交感神経や副交感神経のバランスが乱れる自律神経障害でも、情緒不安定や動悸などの症状とともに、手足の痺れが起こる場合もあります。
女性に多い痺れ
妊娠や出産、更年期には、次のような疾患によって手足の痺れが起こりやすいといわれています。
手首の中にある手根管というトンネルの中で、正中神経が圧迫される「手根管症候群」は、妊娠期の女性がなりやすい疾患で、指の痺れが起こります。常にパンプスやハイヒールを履いている女性や合わない靴を履いている女性に多く見られる「モートン神経腫」では、足の指に痺れや痛みが起こりがちです。肩甲骨周辺の神経や鎖骨下動脈が圧迫される「胸郭出口症候群」になると、上肢や肩甲骨周辺に痺れが起こります。また、更年期障害でも「のぼせ」や倦怠感、発汗などとともに手足の痺れを感じる女性もいます。
自分でできる手足の痺れへの対策は?
手足の痺れに日常的に自分でできる対策は、次のようなものがあります。
腰や首を温める
血行不良や筋肉疲労が原因で、手足に痺れが起きている人も多くいます。腰や首を温めることで効果的に血行を促進させ、筋肉の緊張を弛緩させられるので、神経圧迫の改善が期待できます。
ストレッチ
神経の圧迫による手足の痺れは、ストレッチをして筋肉の柔軟性を高めるのも効果的です。とくにデスクワークなど、同じ姿勢を長時間続けがちな人は、こまめにストレッチするといいでしょう。
適度な運動
水泳やウォーキングなど、手足をしっかり動かす運動は、全身の血行を促進させて、手足の痺れ改善に効果が期待できます。
正しい姿勢を心掛ける
首や腰などに過剰な負担をかける姿勢が癖になっていると、筋肉が緊張し神経を圧迫する原因になります。正しい姿勢を日々心掛けましょう。
悪化する痺れ・長引く痺れの場合は?
さまざまな対策方法を試してみたけれど、悪化した場合や痺れが長引いている場合などは、医療機関や整骨院・接骨院などでプロによる診断・治療や施術を受けましょう。
医療機関
手足の痺れが長引く場合や痺れ以外にも重篤な症状の出ている場合には、神経内科や整形外科などの医療機関を受診しましょう。検査によって原因が特定できれば、原因に応じた治療が行われます。
整骨院・接骨院
接骨院や整骨院では、筋肉の緊張や血流を改善したり、姿勢を改善したりする施術を行うことで、手足の痺れにアプローチする施術が受けられます。手技だけでなく、鍼や機器を用いることもあります。
まとめ
手足の痺れは、日常生活に支障の出ない程度だと、つい我慢してしまいがちです。ところが手足の痺れは、日常生活に大きな支障をきたす恐れのある症状です。原因は神経の圧迫から脳の病気まで、幅広く考えられます。まずは温めたりストレッチしたりなど、自宅でできる簡単な対処法を試してみましょう。それでも症状が改善しない場合は、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。また、整骨院や接骨院などで施術を受けるのも、手足の痺れの軽減につながることが期待できます。
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