頸椎ヘルニアとは、頚椎のクッション的な役割を担っている椎間板が損傷して飛び出す症状のことです。頸椎の中には脊髄や神経が走っていて、飛び出た椎間板が圧迫します。その結果、手足のしびれや肩にかけての痛みなどを引き起こします。頸椎ヘルニアのメカニズムはわかるものの、そもそもなぜ椎間板が損傷を受け飛び出るのでしょうか?ここでは頸椎ヘルニアの原因やなりやすい人、症状を緩和するための対策を解説していきます。
頸椎ヘルニアが起こる原因について解説
頸椎ヘルニアの発症メカニズムは、椎間板がなんらかの理由で飛び出して神経を圧迫することで発症します。ここでは椎間板が飛び出す主な原因を解説しましょう。
姿勢の問題
頸椎ヘルニアの原因として、悪い姿勢を続けることが考えられます。猫背やストレートネックで長く過ごしていると、首に痛みやしびれを感じやすくなるので注意が必要です。猫背やストレートネックは首が前に倒れる状況が続き、椎間板に負担がかかり飛び出しやすくなります。
近年では仕事とプライベート問わずにパソコンやスマホ、タブレットを長時間見続ける人も多いでしょう。このとき、首を前に突き出すようになるので頸椎への負担も大きくなり、頸椎ヘルニアを発症しやすくなるので注意してください。
加齢
頸椎ヘルニアは基本的に、年齢を重ねれば重ねるほど発症リスクが高まると言われています。というのも頸椎ヘルニアの要因の中でも、加齢は大きいとされるからです。椎間板をはじめ、首は重たい頭部をずっと支え続ける役割があります。このため負荷が大きくかかり続けるので、全身の中でも早く老化が進む箇所です。
加齢によって椎間板が劣化すると、外側を形成している膜にひびが入りやすくなります。すると中に入っている髄核が飛び出して、神経を圧迫することにより頸椎ヘルニアを発症するわけです。
コンタクトスポーツ
体をぶつけあうような、激しいコンタクトスポーツを長年行っていると頸椎ヘルニアの発症リスクが高まります。体をぶつけあうときに、首にも衝撃がかかるでしょう。すると頸椎や椎間板へのダメージも大きくなって、劣化が進みやすくなるわけです。また首への衝撃によって椎間板がずれることによって、ヘルニアを発症する可能性もあるので注意してください。
頸椎ヘルニアを発症しやすい人とは?
頸椎ヘルニアの原因として姿勢が悪く、首に負荷をかける点について紹介しました。パソコンやスマホを長時間見続けるなど、うつむいた姿勢をとることの多い人は注意しましょう。たとえば監視作業がメインの人の中には、長時間見上げる姿勢をとり続ける方もいるでしょう。これも頸椎に負担をかけやすいので注意が必要です。
年齢とともに骨の劣化が進み、頸椎ヘルニアを発症する人も少なくありません。一般的に40代以降でヘルニアに悩まされる人が多いと言われています。性別に関しては、大きな差はありません。レスリングやラグビー、柔道などのコンタクトスポーツは首に負担がかかりやすいとされます。学生時代これらのスポーツに打ち込んできたという人は要注意です。
頸椎ヘルニアの対策について解説
頸椎ヘルニアと診断された場合、どのような方法で対処するのでしょうか?ここでは主要な対策方法について紹介します。また自分でできる症状緩和の方法もあるので、あわせてみていきましょう。
保存療法
頸椎ヘルニアを発症して、神経のどの部分が圧迫されているかで対策も変わってきます。神経根と呼ばれる脊髄から左右の末梢に向かって伸びる付け根の部分です。ここが圧迫された頸椎ヘルニアの場合、保存療法をとるのが一般的です。具体的には安静にしてしばらく過ごしたり、痛みを感じるのであれば消炎鎮痛薬を投与したり、神経ブロック注射したりする場合もあります。頸椎カラーと呼ばれる固定器具による治療法を選択する場合もあります。
手術
椎間板が脊髄を圧迫しているのであれば、手術の可能性が出てきます。脊髄を圧迫していると、手足がしびれたりこわばりが起きたりして日常生活に支障をきたす場合もあるからです。また先ほど紹介した保存療法で思うような効果が出なかった場合にも、手術を行う事例もあります。手術は飛び出している椎間板を除去し、その代わりに腰の骨などを移植するのが一般的です。
ストレッチ
自分で対処する方法として、ストレッチもあります。頸椎ヘルニアの理由の一つに悪い姿勢を続けることによるストレートネックや猫背があると紹介しました。ストレッチによって姿勢を矯正し、首の負荷を軽減していきます。
簡単に実践できるのは、椅子に座ってあごを引きましょう。そして肩をすくめるような感じで持ち上げていきます。これ以上持ち上がらないところまで来たら、5秒間その状態をキープしてください。その後肩をストンと一気に落とします。これを10〜20回繰り返すだけなので、少しの空き時間でも毎日実践できるはずです。
まとめ
頸椎ヘルニアを発症すると、痛みを感じたりしびれやこわばりが出てきたりします。しかも場合によっては手をうまく動かせなくなり、足がしびれた場合歩行も困難になる事態も考えられます。ここで紹介したように悪い姿勢を続ける、首に負荷のかかる激しいスポーツを繰り返している人は要注意です。また年齢を重ねると発症リスクも高まるので、何か異変を感じたのであれば、早めに医療機関を受診しましょう。
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