神経圧迫とは?痺れの原因となる神経圧迫の種類や改善策を解説

腰痛コラム

私たちの体は、脳からの指令が神経を通ることで、頭で考えなくても体が自然と動くようにコントロールできています。また、内臓の動きをコントロールするのも、神経の大きな役割です。ところが、この神経がなんらかの原因で圧迫されると、痺れの症状が現れることがあります。そこで今回は、神経圧迫がなぜ起こるのか、そして痺れを引き起こす代表的な神経圧迫の種類、その改善策について詳しく解説します。

神経とは何か?

神経は、私たちの体の司令塔である脳や脊髄と、体の各部分をつなぐ、いわば「情報伝達の高速道路」のようなものです。

神経の役割

神経にはおもに3つの働きがあります。1つ目は、外界からの刺激を脳に伝える「感覚情報の伝達」の働きです。2つ目は、脳から筋肉に指令を送る「運動指令の伝達」の働きです。これによって、私たちは体を動かせます。3つ目は、「自律神経系の制御」です。内臓の働きをコントロールし、生命を維持しています。

神経の構造

神経は、神経細胞(ニューロン)と呼ばれる特殊な細胞が集まってできています。ニューロンとは、長い軸索と呼ばれる部分を持ち、この軸索を通じて電気信号を伝達するものです。

神経は、体中に網目状に張り巡らされた「末梢神経」と、末梢神経で集めた情報の集まる「中枢神経」からなります。中枢神経は脳と脊髄のことで、体を動かすために指令を出す司令塔です。中枢神経は大変重要な神経のため、脳は頭蓋骨、脊髄は脊柱で守られています。末梢神経は体の各部分に伸びている中枢神経から体の各部分へと伸びている神経です。

神経の種類と働き

神経には次のような種類があり、それぞれ異なる働きをしています。

・運動神経:中枢神経から筋肉や腺へ指令を伝える

・自律神経:内臓の働きを無意識にコントロールする神経で、さらに交感神経と副交感神経に分けられる

神経圧迫とは?痺れを伴う神経圧迫の種類を解説

神経圧迫は、神経が周囲の組織や骨などによって圧迫され、その機能が阻害される状態です。圧迫される部位によって名称が異なり、それぞれ特徴的な症状が現れます。神経が圧迫されると、感覚を感じるセンサーから脳に信号が伝わる経路に障害が発生し、異常な感覚が脳に認識されることで痺れが起こるのです。ここからは、痺れを伴う神経圧迫のおもな種類を紹介していきます。

頸椎神経根症

「頸椎神経根症」は、頸椎(首の骨)の変形や椎間板ヘルニアなどにより、首の神経根が圧迫されて発症します。上肢の運動機能低下や感覚異常を伴うことが多く、首や肩、腕に痛みや痺れ、こわばりなどの症状が現れます。

腰椎神経根症

「腰椎神経根症」は、腰椎の変形や椎間板ヘルニアなどにより、腰の神経根が圧迫されて発症します。坐骨神経痛を伴うことが多く、お尻や足の痛み、痺れ、歩行困難などの症状が現れることもあります。

手根管症候群

「手根管症候群」は、手首のトンネル(手根管)の中で、正中神経が圧迫されて発症します。が手のひらや指の痺れ、痛み、握力の低下などの症状が現れ、夜間や安静時に悪化する傾向にあります。

胸郭出口症候群

「胸郭出口症候群」は首から腕にかけての神経や血管が、第一肋骨や鎖骨などによって圧迫されて発症します。下肢の運動機能低下や感覚異常を伴うことが多く、肩・腕・手にかけての痛みや痺れ、冷感などの症状が現れる傾向にあります。

その他

顔面神経が圧迫され、顔面麻痺や表情筋の動きが制限される「顔面神経麻痺」や三叉神経が圧迫され、顔面に激しい痛みが走る「三叉神経痛」、手足の先端など、末梢の神経が障害される「末端神経障害」などがあります。

神経圧迫による痺れの改善策は?

頸椎神経根症や腰椎神経根症、手根管症候群や胸郭出口症候群などによる痺れは、神経が圧迫されることで起こるため、根本的な原因である神経の圧迫を取り除くことが痺れの改善につながります。

自分でできる改善策

肩や腰など、コリをそのままにしておくと筋肉の緊張状態が続き、頸椎や腰椎の変形による神経圧迫を起こしてしまう原因になります。ストレッチやウォーキングなどを習慣づけるといいでしょう。また、正しい姿勢を身に付けることも大切です。

痺れがひどくない時には、患部を温めたり揉んだりするのも有効です。手首の痺れがひどい場合は、固定して安静にしましょう。

保存療法

保存療法には、薬物療法と物理療法があります。薬物療法は、痛みを抑える消炎鎮痛剤や、神経の働きをサポートするビタミン剤、神経の痛みを軽減する神経痛治療薬が用いられます。

物理療法とは、温熱療法・電気療法・牽引療法などを行い、痛みを緩和し、血行を改善することです。筋肉を強化し、姿勢を改善することで、神経への圧迫の軽減を目指すリハビリテーションも有効です。整骨院や接骨院に通うのもいいでしょう。

手術療法

保存療法で改善が見られない場合や症状が進行している場合は、手術を検討する場合があります。

まとめ

神経圧迫は、神経が周囲の組織や骨などによって圧迫され、その機能が阻害される状態です。これにより、痺れなどの症状が現れます。代表的な神経圧迫による疾患には頸椎神経根症や腰椎神経根症、手根管症候群などがあります。まずは、生活習慣の見直しや温熱療法などの保存療法を試してみましょう。整骨院や接骨院の施術を受けるのもおすすめです。症状が重篤な場合は、手術が必要になる場合もあるので、医療機関を受診しましょう。

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